返信を期待しない「俺通信」なコミュニケーション
最近20歳前後の学生たちに話を聞いたら、驚くほどコミュニケーションの質が変わっていた。
これまでコミュニケーションアプリといえば、
日本ならLINE、世界でいえばWhatsAppやViberなど、メッセージやスタンプを送る、受け取る、ということでやりとりをする、文字通り「コミュニケーションをとる」ためのアプリだった。
そのため、自分がメッセージを送ったときは相手からの返信を期待し、
「既読スルー」や「LINEいじめ」など、コミュニケーションをとることの煩わしさも目立つようになった。
しかしいまや10代前半〜20代前半のコミュニケーションは、その煩わしさからも解消された。
彼らのコミュニケーションは、もはや相手からの積極的なインタラクションを期待していない。
FacebookやLINEで相手にちゃんと連絡する手段は確保しつつも、
日常ではInstagramやSnapChat、MSQRD(マスカレード)でただ自分の日常をアップデートするだけ。
そんな”俺通信”がコミュニケーションの主軸になっている。
*俺通信:恋人でない人や、さほど興味のない相手が、「俺」の報告を逐一送ってくるメッセージのこと。
では具体的に、彼らはどのようなコミュニケーションツールで距離を縮めているのか。
まず新たに人と出会った時、ときには食事会や合コンでInstagramアカウントを教えあう。
そこで相手の人となりを知り、趣味を知り、話のネタを見つけて、仲良くなれるか探る。
仲良くなれそうなら、LINEやFacebookのアカウントを聞き、しっかりと連絡のとれる手段を確保し、距離を縮める。
そして何度か話したり、共通の友人が多いことが分かったときに、リアルにアップデートを知りたい友人としてSnapChatアカウントを教えあう。
SnapChatのStory(Facebookのウォールのようなもの)で、近況をテキストやスタンプとともに投稿し、
さらに特定の友人とだけ共有したい場合には直接送り合う。
最も頻繁にやりとりをしている人とのチャットにはハートマークがつき、
しかし相手が他の人とやりとりしていたらそのハートマークが自分以外の友人に移ったりする。
そんな形で相手の状況を”聞く”のではなく”推し量る”関係が心地よいみたいだ。
「返信」という概念すら煩わしい
そんなSnapChatやInstagramでは、基本的に自分が送って相手が返信する、というコミュニケーションは求められていない。
既読スルーもなければ、送受信の頻度も割合も、気にかけなくて良い。
全員が好きなタイミングで「俺通信」を送り、興味がある時に”連絡”をする。返信ではなく連絡という感覚が当てはまる。