国内でInstagramビジネス活用が急増。エンゲージメント4.21%の超濃厚ユーザーをどう勝ち取るか
日本国内でのInstagramビジネス活用の状況
過去数年間、全世界で何百万というブランドがInstagram(インスタグラム)に参入した。
2016年2月にはInstagram上に月間20万社が広告を出稿し、Twitterの13万社を軽く超えたことが発表された。
半年前には数百社しかいなかった広告主が、なぜここまで増えたのか。
それは、Instagramが最も消費者を引きつけるソーシャルメディアであり、濃くアクティブなファンを囲い込めるためである。
そんなInstagramは、もはや海外だけの話ではない。
日本国内でもMAUは1200万人を突破(来日していた創業者談)、ビジネスユーザーは1万社を超えた。
私たちが運営しているInstagramマーケティング勉強会というFacebookグループにも1500人近くが参加し、ビジネス活用に注目している人が急増していることを感じる。
Instagramマーケティング勉強会への参加目的内訳:
- Instagramの動向を知りたい (120人)
- 自社のInstagram運用に生かしたい[すでに運用中] (54人)
- 自社のInstagram運用に生かしたい[これから運用予定] (39人)
- お客さまのInstagram運用に生かしたい (14人)
- Instagramに関する勉強会・セミナーに参加したい (11人)
なぜこれほどInstagramへの注目が高まっているか
一番大きな理由は、そのインタラクションの多さである。
米hootsuiteの調査データによれば、フォロワーに対するインタラクションは
Instagram 4.21%に対してFacebook 0.07%、Twitter 0.03%
とされ、
さらにファッションやフードなど写真との相性が良いインスタグッドな業界においては高さを増す。
ニューヨーク・コレクションにおいては、
期間中、1300万件のインタラクション(いいね、コメント、シェア)のうち97%はInstagramで、残りはFacebookが2%、Twitterが1%だった。
もちろん、インタラクションの高さから、Instagram経由でのアプリダウンロードやメディア訪問などのエンゲージメントは非常に高く、親会社であるFacebookはInstagram広告の最適化を今後重視していく方向とされる。
Instagramをプロモーションに活用する方法は、たった二つしかない
それは、
- 自社アカウントを育てる(ルーティン型)
- インフルエンサーに依頼する(スポット型)
の二択である。
もっと簡単に言えば、自分で発信するか他者に発信してもらうかである。
1. 自社アカウントを育てる(ルーティン型)
ファンとの関係を築き、継続的に運用するための基盤作りを目的とし、
良い写真や動画に力を入れて運用したり、ハッシュタグコンテストを開催したりしている企業アカウントはこのタイプである。
これにおいて、自社アカウントを販売・PRチャネルとして機能させるには、
コンバージョン目標とエンゲージメントレートから逆算したフォロワー数(あるいは投稿が拡散した際の閲覧者数)が必要である。
もちろん時間や運用する人のセンスが問われるが、ファンと継続的に関係を保つ上で有効な手法である。
国内のおもな関連サービスとしては以下がある。
マーケティングツール(無料):PONY
マーケティングツール(有料):Aista (notari), Social Insight (UserLocal), hashlikes (ナナメウエ)
運用/キャンペーン代行:sharecoto(シェアコト), monipla(アライドアーキテクツ)
2. インフルエンサーを巻き込む(スポット型)
これも最終的に1に繋げるためのケースもあるが、
基本的にはスポット的にキャンペーンを盛り上げたり話題を作ることを目的とし、
有名人やフォロワーの多いユーザーに対して投稿やプロジェクト単位で広告を依頼するやり方である。
国内のおもな関連サービスとしては以下がある。
インフルエンサーへの発注プラットフォーム:Instagrammer.jp (3MINUTE) , Tagpic(タグピク) , Life-Instagrammer Network(トレンダーズ), コムニコインスタグラマーズネットワーク(comnico)
1.2.ともにどちらか一方のみ行うのが良いというわけではない。
戦略と予算に応じて効率的に運用を行わなければユーザーを囲い込めない。
前者はセンスと時間、後者はお金が必要である。
Instagramはプロモーションだけのチャネルか?
そのエンゲージメントの高さからプロモーションに活用するために運用を始めた企業は多い。
しかしInstagramの底力はプロモーションだけではない。
ファッション業界を中心とした動きではあるが、
「インスタグラムは顧客との最初の接点として、製品がベストセラーになるかどうかを判断するのに使っている」
という企業が増えているのだ。
オンライン小売のエバーレーン(Everlane)は、
2016年1月、インスタグラムで非公開のアカウント(@EverlaneStudio)を開設し、つながりの深い顧客で構成された一種のフォーカスグループをInstagram上に作り、新しい製品のデザインなどについて議論に関わってもらった。
オンラインファッション誌「フーホワットウェア(WhoWhatWear)」は2016年、米量販店のターゲット(Target)と協力して、はじめてのリテイルブランドを立ち上げた。その際、彼ら短い動画を撮影し「フーホワットウェア」のアカウントから160万人のフォロワーたちに、クローゼットのなかにない服は何かと尋ねた。 そのフィードバックから、若い女性にはファッショナブルで手ごろな値段のビジネスウェアの種類が少ないことがわかった。
いくらかの業界において、顧客はInstagramに存在し、Instagramに存在する顧客はコミュニケーションがとれる顧客である。
上のように潜在的な顧客に意見を聞いたり、商品デザインや画像のA/Bテストを行ったり、
より良いものを作り伝えるために、Instagramは使われている。
今後の国内Instagramマーケティングの動き
今後Instagramは、アートだけの世界ではなくなっていく。
より多くの広告が入り、アルゴリズムによって表示順序が変わり、
フォローしている人からは広告としての投稿が流れてくる。
ここで予測できることは2つある。
ひとつは、もはや発生していることだが、
InstagrammerがYoutuberに代わる、稼げる仕事になること。
海外では、セレブリティを中心にInstagramの投稿広告が高額で発注されており、
ケンダル・ジェンナー、カーラ・デルヴィーニュ、らのトップモデルのソーシャル上での一投稿の価値は約1,530万円〜3,700万円、カーリー・クロス、ミランダ・カーらの投稿は、約300万円〜615万円ほどの価値があることが判明した。
国内においても、上記インスタグラマーネットワークではこうした投稿広告の発注が行われているが、
今後はセレブリティや著名人だけでなく数千、数万程度の一般ユーザーに対しても広がっていくだろう。
もうひとつは、
Instagramの写真データとしての活用が進むこと。
Instagram、あるいはInstagram APIを使うサードパーティが、写真という大量のデータの機械学習によって振り分けて最適化していく(これは写真・動画投稿SNSとしてユーザビリティを改善するだけでなく、ECサイトやメディアにおいてCVRの高い写真・動画素材としての活用かもしれない)ことが考えられる。
FacebookはF8において、今後10年間で注力することのひとつにAI活用を挙げたが、もしかしたらこれにも関わってくる動きだろう。